011:切なさの中にも希望がある「アンジュール」
- 作者: ガブリエルバンサン
- 出版社/メーカー: ブックローン出版
- 発売日: 1986/05/01
- メディア: 大型本
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特徴 うさこちゃんシリーズでもテキストのないものがあったりするけど、私が出会った絵本で文字がない本はこれが初めてだった。 主人公が犬、ということで、現実世界でも発話をしない対象だからこそ、テキストがない中での表現がリアルに感じ取れる。 犬の感情も、その表情や空気からとても良く読み取れ、テキストがなくてもしっかりと物語が成立している。
1ページの文字量 なし
音読目安 どう読むかによる。 親が想像でストーリーをつけて話してあげるスタイルにするなら、3分~5分くらい。 パラパラと絵をめくるだけなら多分1~2分くらい。
ムスメに読んでいた時期 2歳
ムスメ好き度(星5中) ★
母好き度(星5中) ★★★★★ ーーー 娘好き度が低いのは、娘は犬に感情移入しすぎて犬が可愛そうなのか、自分を投影して寂しくなるのかのどちらかだとは思うが、 この本を読んだ後にとても寂しそうな表情で泣いてしまったため。 まだ両親との距離感が近い年齢だとこういう影響が出るのか、と親としても新発見。
ちなみにこの本は母である私が独身時代に出会ってコレクションしていた本のうちの1冊。 どのシーンも、余白のとり方や犬の表情、ページの持つストーリー性が素晴らしいく、とても気に入って買った。
テキストがない、ということは、どういう解釈も読者次第。 冒頭で1台の車が登場し、そこから犬が投げ捨てられる(文に起こすととても重いな…)のだが、それを「犬がきっと悪いことしちゃって飼い主を怒らせちゃったんだよ」とするのか、「飼い主は犬のことがどうしても好きになれなかったんじゃないかな?」とするのか、はたまた「きっと引っ越し先のおうちでは犬は買えなくなっちゃったのかな」とするのかは読者の自由。 様々な想像が全て肯定される(…というのが正しいのかはわからないが、少なくとも読者に委ねられてはいる)ので、こういうところで想像力を養ってほしいと思うので、娘とも長く付き合ってほしいな、と思う1冊です。